雨と靴下
はるな


あまい季節を夢みて
窓のちかくに立っている
腕には
うすあおい痣をもって

むかしに覚えたうたを
口もとに飾って
すこしだけ
笑っている

明日になったら
明日
もしあまい雨が降ったら
ここを出ていこう
いちばん好きな靴下をはいて
いちばん軽い靴をはいて

泣いてたのは
だれかのせいじゃない
温度がとおくて
月が近すぎただけ

あなたも
だれかのために生きなくてもいいんだよ
ゆれるのは
なんだったかな、
思い出せないまま
抱きしめる

明日になったら
明日
あまい雨が降ったら
ここを出ていこう
なにもかも捨てて
泣いている空を捨てて
いちばん
好きな靴下をはいて




自由詩 雨と靴下 Copyright はるな 2011-02-20 21:02:14
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