だんだんうすっぺらくなる
はるな
たくさんのひとの中にいて話していると
からだがだんだんうすっぺらくなる
笑ったり怒ったりしている人たちのなかで
からだがだんだんうすっぺらくなる
頭のなかに大きな丸をえがいて
からだがだんだんうすっぺらくなる
ささやかな体温を持てあまして
からだがだんだんうすっぺらくなる
魚がくさったようなにおいがしてきて
からだがだんだんうすっぺらくなる
だんだんうすっぺらくなったからだが
次第に力をうしなって
だんだんうすっぺらくなったからだの
真ん中がしぼみはじめる
だんだんうすっぺらくなったからだは
わたしのことを忘れて
だんだんうすっぺらくなった世界の
裏側にすうっと入り込む