きよらかなめ
高梁サトル


小さな籠の中からこちらを見やる
黒々としたきよらかな眼
欲しがる言葉も持たぬ
やわい毛糸玉のような身体を掬い上げ
背筋に鼻先を埋めれば
滴り落ちる真水で濡れそぼる羽
愛することも壊すことも覚えた
わたしの手の中でおまえは
ただしろく、透き通るほどしろく
薄紅色の嘴を震わせて
か細い音でなにかを囀り
近付く清明の気配を感じとっている
土に触れたこともなく
雨に打たれたこともなく
ひとつのけがれもなく、白痴を晒し
その無垢な眼に見詰められるときにだけ
わたしの眉間の皺は弛み
ただただ無私のなみだを流せるのだ
瞼を閉じることも忘れ


自由詩 きよらかなめ Copyright 高梁サトル 2011-01-24 18:47:06
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