車掌さん
たもつ

 
 
目が覚めるとわたしは突然
車掌さんになっていて
最後尾の車掌室にいる
夢の続きだろうか、と思い
頬っぺたをつねろうとするのに
指が見つからない
車掌さんなんてしたことなどないくせに
無難に仕事をこなしていく
これから明るくなるのか
もっと暗くなるのか
わからないほど真っ暗な空気に包まれて
列車は走っていく
終着駅に着くと
なで肩の人々がホームに降りてくる
少なくともわたしの友だちや
親類縁者ではない感じだ
車内の点検中
網棚に誰かの忘れていった
小さな命があった
自分の命のような気もしたけれど
わたしとは型が合わない
他の物と一緒に係へ届ける
  
 


自由詩 車掌さん Copyright たもつ 2011-01-18 05:47:44
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