バスタイム
西日 茜

今夜もお風呂に入れてあげる
一緒じゃないと危ないからね
眼鏡をはずしてあげよう
シャボンでブラシとシャンプーも

手ですくってかける
温かいしずくは
バスルームに響く魔法の音
湯気の向こうで悲しそうな顔
泣かないであなた

昨日
あなたがいて わたしがいた
あなたの前を歩く
わたしはいそいそと
楽しそうで甘えていた

あなたは荷物をかかえ
汗をふきふきお伴の人みたいに
デパートを歩く
そんなわたしたちの光景も
やがて幻になるのでしょう

そう、あなたはあと何年かしたら
車いすの生活になり
やがて寝たきりになり
静かにその時を迎えるんだもの


自由詩 バスタイム Copyright 西日 茜 2011-01-16 20:37:38
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