黄金色の目のカラス
石川敬大




 天上からもち帰った
 大切な荷物のように

 わが身に替えてもと
 あんなふうに胸ふかく抱いていた
 母がいた
 から、きみがいた

 母がたったひとつの宝物と
 わが身に替えてもと願ったのだ

 ブキヨウで
 ミニクくさえある
 翼を羽ばたかせて
 やっと電柱の上にとまり睥睨する
 のではなくて
 フアン気にみおろしているやつ
 みおろしながらぼくなんかいなくなったほうがいいんだと
 ウツムいているやつ

 仲間からサゲスまれ
 キラわれイジめられて
 ひとから敵視されているカラス

     *

 だけど
 おもいだしてほしい

 わが身に替えてもと
 あんなふうに胸ふかく抱いていた
 母がいた
 から、きみがいた

 という
 そのことを






自由詩 黄金色の目のカラス Copyright 石川敬大 2011-01-15 09:52:19
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