夜のブルース
竜門勇気


どうして僕は死んでいくのだろう
アルバムの中は空っぽで
日記帳は真っ白だ
全宇宙レコード叩き割る
吹かすレゾナンス

スパム一つで朝晩はおしまい
窓を開けてもきみはいない
寝間着の上からジーンズを履いて
おしまいの続きを探しにドアを開ける

世界の店じまい
悪あがきをしようか

閉店目下続行中
どこに着いても素通りで駆け抜けろ

こうして夜は死んでいくんだろう
朝の光が絶望のサインだ
まだ 日記帳は真っ白で
飽和水蒸気たちこめる
吹かすレゾナンス
視界より白いレゾナンス

そうして僕はどこへいくんだろう
宙に浮く足音と鼓動
ただ 日記帳は空白のまま
耳の中の小人たちの撃つ
夢のなかのレゾナンス
視界に干渉するレゾナンス

悪あがきの通り過ぎる速度が上がる
どこに着いても素通りで駆け抜けろ
もうどこの誰にも用事はねえんだ
音が消えるまで
寂しさが消えるまで
夜が消えて絶望の中まで駆け抜けるまでだ

どこに着いても素通りで駆け抜けろ
誰にあっても何があっても
忘れても思い出してもそんなモンは頭の中だけだ
自分にしかカンケーねーんだ
素通りで駆け抜ける
素通りで駆け抜ける
夢のなかの夢だ
自分の中の遊びだ

悩んで出た答えに縋りついて
後悔の味を薄めるだけ
音が消えるまで虚しさに慣れるまで
天使の声は聞こえてるだろまだ

全て置き去りにしていけば
ささやかな喜びも消えてしまうからって
足枷に付いた時限爆弾を抱えたままドカンだ
誰かに任せた運命に呪詛を投げる
どこかで叫び声は聞こえるけど
同じ大きさで自分も叫ぶことになる

君の声は聞こえないので
まだ春は来ません
夜に向かってドアを開ける
静寂と暴風
太陽ギラギラ まだ夜か
どこに着いても駆け抜けろ
耳鳴りをかき消して声が聞こえるまで
誰の声でもいい 自分の声でもいい
素通りして素通りして
霧の晴れる音がうるさくなるまで

どこに着いても素通りで駆け抜けろ
どこに着いても素通りで駆け抜けろ


自由詩 夜のブルース Copyright 竜門勇気 2011-01-14 02:27:45
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