夜と花
木立 悟







棄てられた緑や白を
熱はわたる
ゆうるりと巡り
夜をつくる


川の
ひとつの波が逆らい
二層で居る
午後の空を
燃した磁石


冬と陽のあいだ
蒼の前の蒼
許しを越え
あふれ 染める


たましいだけの鳥が
真夜中に鳴き
壁の内に
色を寄せる


水はつららに
刺さるばかり
空は空へ
狭まるばかり


かがやきと花
蒼より蒼い白を膝に抱き
胸に至るまでじっとしている
ひかりのはら
ひかりのはら


ほどかれたもの
ほどいたもののあつまりのきんいろ
天と地のさかさまの羽
暮れと夜と朝にはばたく


冬の柱は色を失くし
わずかにわずかにふるえている
かつての空に空を返し
ふところの火で道を照らす


夜にひとつ
たどりつくもの
冬の星が冬をまわす
その白く白く細い手を見る





























自由詩 夜と花 Copyright 木立 悟 2011-01-13 23:18:28
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