白桃
橘祐介

白桃をがぶりと食べた
君がくれた白桃だ
もう一つせがんだ
君はもう一つくれた

彼女は手ぶらになっている
もう一つくれとせがんだ
もうないのよ彼女
ちょっぴり肩をすくめた

それは、とても、とても
遠い町から買ってきたものだった
仲良く一個づつ食べようと

自分の分まで食べさせてくれた
それに気がついたのは
自分が父親になってからだった



自由詩 白桃 Copyright 橘祐介 2011-01-09 11:54:50
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