はじめに言葉ありき。超エテ公の独り歩き。
salco

父よ
母よ
神々は太古からそこにいて
神々は初めからここにいはしない
ヒトが路上で嘆息する時は
ただ頭上に空と、眼前に生活があるだけで
哲学や文学など役に立ちはしない いつだって
それでも何かの一員たりえんと
誰かの手を求めたり
見上げるビルディング達の慰めを聞く
二十一世紀
人類の進化はA.D.の始めに完了していた
あとは物質文明と人口の膨張に先鋭化し
加速して来たに過ぎない

進歩とは何か
月に降り立ち、銀河の数を数える事か
双頭の牛を創り、
石女の膣にスポイトを突っ込む事か
機械と動力にかしずかれ、
鉄とガラスの塔に住まう事か
進化とは何か
右手で世界を構築し、
左手で世界を破壊しながら
無人の沃野で
ガイガー・カウンターの針が振り切れる程の
放射能が大気を満たすその日を待つ事か
お前の存在理由を守るのは
どんな国際機関か国内機構か
お前達の未来を照らすのは
どんな科学か宗教団体か

ああ、人類は神の如し
脳膜炎を患う神の如き哉
地下生活者の選民共の最後の祖先
空気浄化装置の低く唸る中、
薄暗い電燈に慣れた目で
いまだに親しい青空から永久隔離された
残り少ない人類は
このひっそりした惑星の地下
コンクリートと鉛の穴の中で
古ぼけた曽祖父母の写真を見せ合う事だろう
そして再び物語が
ノアの箱舟から始まる事を願い
第三の聖書(最新約聖書)に記すべき
最後のアダムとイヴの事をも
こもごも語り合うに違いない

進歩とは何か
放射能半減期十万年の
捨て場の無い粗大ゴミの山の麓で
我々は何について語るべきなのか
今、何を以ってサル達は


自由詩 はじめに言葉ありき。超エテ公の独り歩き。 Copyright salco 2011-01-02 22:37:13
notebook Home 戻る