雪の往還にたつ青い犀   ーー 堀晃の絵画を観て
石川敬大





 こんなにもかなしくさびしい目をした
 青い犀は
 かつてみたことがない

 霜月はじめ
 いや
 ぎりぎり瀬戸際のこの師走のおわりの
 月さえ凍える
 しろい朝の大気に
 青を纏ってめざめかけている

 青い闇に浮かびあがっている
 犀は
 もしかしたら
 かれの
 想念なのかもしれない

 青い犀
 の
 カタチを身にまとった
 かれじしんの姿なのかもしれない


 季節にはぐれた
 さびしい夏の目をして


 かれは
 どんな辻でも往還でもなくひとり
 雪の原に
 すっくと立っている







自由詩 雪の往還にたつ青い犀   ーー 堀晃の絵画を観て Copyright 石川敬大 2010-12-30 18:18:50
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