生命線
ピッピ

生まれたばかりの魂は天高く
地に還るのを只管に待っているだけ
君はどのくらいの高度を征くのだろう
死にかけの魂が空を指さして笑っている
大地の重力に押し潰されながら

天国の近くで笑うのが一番似合っている
灰色の固い草原も頽廃的で爪垢のようだ
君の中指は世界で一番長い
そして世界で一番生命線が短い
金星がただ
地球の隣で音もなく爆発するくらいに

死んだ縫いぐるみを抱えながら
空を重ねれば透き通るような
君の体は朽ちていく
(地下鉄になんて、乗ってほしくない)
引き金の引き方を忘れ
茹だっていく冬の灯火

悔しいのを忘れたかい
ねえ、濁っていくんだ
土の色の方が似合うようになって
墓の色の方が似合うようになるんだ
擦り切れてしまいそうな生命線が
世界で一番綺麗だよ
擦り切れてしまいそうな生命線が
擦り切れてしまいそうな
生命が


自由詩 生命線 Copyright ピッピ 2010-12-23 13:06:20
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