気づいてみれば一二月−道5
……とある蛙

最初の一歩は
小学校の
とっても古い校門へ
向かう小さな坂道に
桜の花びらが一片(ひとひら)
二片ひらひらと

ピンクの風が吹く中を
母親の片手を握り締め
木造校舎の仮講堂
校長先生への御挨拶
一生懸命大声で
ハイと答える緊張感

ランドセル
背負って
道を歩き始め
歩いて
歩いて
歩いて行く
喧嘩に遊びに勉強と
一番長い小学生生活
終わってみれば
あっと言う一瞬
続く中学高校生活
ここから悩む学生生活

社会に出れば独りだけ
代わりに歩く人も無く
歩いて
歩いて
歩いて
歩く
隣に歩く人もいるが
知らないうちに消え失せて
そのうち一人で歩いていたり、

気づけば坂は急になり
どんどん
どんどん
険しくなって

鞄の重みに耐えかねて少し
前見る
地を見る
足を見る
それでもテクテクテク歩き出し
次に気づけば地平線
着く訳の無い地平線


自由詩 気づいてみれば一二月−道5 Copyright ……とある蛙 2010-12-09 16:23:34
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