君へ
桜 歩美

君の10年分を昨夜ずっと何度も見ていたよ
眠らずに何度も見ていたよ

生まれたばかりの君を
心細い私
心の弱い私は
君を育てるという大きな壁にぶつかって
泣いてしまった
くじけてしまいそうになる自分を
なんとかなんとかつないで生きていた
君とともに
とてもじゃないけれど
「可愛い」
なんて思える余裕はなかったよ・・

でも10年お母さんをして振り返る君の幼き笑顔は
なんて可愛いの?
こんなに可愛いことに
10年も経ってから気がつくなんて
お母さん悔しいよ
もっともっと早くに君の可愛いに気がついて
もっともっといっぱいいっぱい君を抱っこしたかった
心の底から大好きって思って
君を抱っこしたかった
いっぱいいっぱい今なら抱っこしてあげられるのに
今ならこんなに元気なのに
悔しい

でもね
リビングのドアからちょっと顔のぞかせて
「お母さんまだ寝ないの?」って聞いてくれる君に
まだ君を大好きって抱きしめてもいいのかなって
思うよ
これが最後と思いながら
昨日
今日と
君を抱きしめているお母さんです

君はその愛らしい笑顔で
その優しさと思いやりを大人になっても
ずっとずっと持ち続けて
いつか愛する誰かを
今日の私のように
抱きしめてあげてください
愛をちゃんと感じて大人になってください
いつまでも永遠に君を愛しているよ


自由詩 君へ Copyright 桜 歩美 2010-12-04 21:15:47
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