きょうだいジーンズ
朧月

夕べから夜通し
留守宅の庭の物干しでさ
おにいちゃんのジーンズと妹のそれが
はたはた はたはた 風に踊ってるんだよ
足を竿に 通しながら

ふたりは決して仲がいいわけじゃなく
できるだけ離れようと そっぽむいてた
風はおもしろがって くっつけようと
無理に押すから とうとうひっついた

妹はほえた あっちいってよ
おにいちゃんは かみついた
お前なんだってんだ

ジーンズのふたりは しばらくにらみあって
はたはた はたはた 風に舞ってた

夜になって星が 静かに
ぴーか ぴーかと輝きだして
あたしたちってどうなっちゃうんだろ って
泣き声だした 妹ジーンズ

しるかって おにいちゃんは つっぱってたけど
押されたふりして 妹ジーンズの
足をひらひら させてやりながら
思い出話を延々はじめる


朝には眠ってるふたりのジーンズ
ひんやりしながら ふたりなかよく
朝露に重さを加えられながら
太陽の笑顔に見守られている



自由詩 きょうだいジーンズ Copyright 朧月 2010-11-27 13:27:09
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