断線
within

いつからか小鳥が来なくなった
名も知らぬ小鳥たちが
毎朝訪れ、よちよち歩いているのを見て
囲いのある私の生活も
悪くないと思えていたのに
いつからか朝の声はしなくなっていた


流浪の民は籠に小鳥を入れて馬に乗り
土地を点々としていたという

籠の中に入れられた小鳥は
じっと暴れることもなく
時折さえずるだけだった

民も狩りの収穫がなくとも
小鳥を食べることはなかった
空腹に身を捩じらせても
朝の訪れと小鳥のさえずりを待ち続けた

それぞれが宇宙の中心なのだから
小鳥のさえずりも銀河の声である
夜火を絶やさぬよう
大人達が交代で火に薪をくべるように
小鳥はさえずりを毎朝重ねていく
それを聞いた子供達に
悪夢は訪れない


雨が止まないバス停のベンチで
隣にいたはずの人影がなくなっても
雨は降り続ける

もちろん君のせいではない
アマガエルに毒があることを
知らない人がたくさんいるように
理由なんてわからないことのほうが
多いんだ


温もりが失われて小鳥にも
生命の長さがあることを知り
中心が失われてそこが虚空になっても
青い空や赤い夕焼けは訪れる

空き箱を見つけたなら
その中に大事にしまっておこう
誰かに見つけられるまで大切に
閉じ込めておこう
再び開かれた時に
夜明けのさえずりがすることを祈って



自由詩 断線 Copyright within 2010-11-25 16:23:15
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