合宿
たもつ

 
 
静かな時計の匂いが
降り積もる教室で
僕らは眠るための訓練をしています
皆、先生に買ってもらったばかりの
蓮根を大事に抱えて
明日の晴れる日を想像しています
教室の隅には
かかとのように小さなホテルが
何となく建っています
先生が泊まるホテルなので
僕らは泊まることができません
先生は優しくそして時には厳しく
指導やアドバイスをしてくれますが
最後に必要なのは自分の力を信じることだ
と言います
抱えている蓮根は丸ごと一本なので
穴を確認することはできませんが
自分の力を信じて
中には穴があることを
僕らは知っています
先生がホテルから出てきて
今日のあいさつをします
おじぎ草の真似をするわけでもないのに
僕らは頭を垂れます
 
 


自由詩 合宿 Copyright たもつ 2010-11-25 06:01:42
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