41億光年の孤独
はだいろ


べつに、
41年間、彼女ができなかったけれど、
孤独なんて感じたことがない。

これも、おそらくは、
逆説で、
じつは、
孤独を感じないようなにんげんだから、
彼女ができなかったのかもしれぬ。

両親に甘やかされ、
祖父母に甘やかされ、
喰うに困ったことはなく、
十代はロックに夢中になり、
二十代は憂鬱にニートですごし、
三十代はひたすらに失恋し、
四十代では風俗にはまっているのだ。

だけどぼくは、
そりゃひとなみに、
恋愛したいとか、
結婚したいとか、
思わないでもないけれど、
どうしたことか、
ひどく、
ひとりでいることが好きなのだ。
これは、
どうしようもない。
ひとりでいても、ちっともさみしくないのである。

ところが、
これも逆説の逆説で、
それならどうして、
詩なんか書くのだろうか。
もし、
ひとりが好きで、ひとりでいたいなら、
ひとりで、何も語らず、
ひとりでいればいいではないだろうか。

会社なんか大嫌いだし、
まして、
会社の飲み会なんて反吐が出そうだ。
実際、吐いたりする。
だけど、
なぜだか、あのひとたちは、
救われる道がどこかにないかと、
夢想したりする。
ぼくじしんと同じように、
救われるべきではないのかと。

彼女が欲しいかと言われれば、
欲しい。
死んでしまいたいくらい、
彼女が欲しい。
でも、
どうしたことか、
ひとりでいることが、それ以上に、いとおしいのだろう。

なぜだか今は、
まだわからぬ。
どうして、恋人なんてものが、
あなたにできたのか、
そのめくるめく奇蹟の謎について、
ぼくは41億光年の彼方から、訪ねて廻りたいのだ。









自由詩 41億光年の孤独 Copyright はだいろ 2010-11-24 21:45:06
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