明日はこない
亜樹

部屋の片隅で彼女が孤独を食んでいるとき
彼は地球に自転の方向について考えていた。
男はいつも遠くのほうばかり見ているし、
女はいつも手の届く範囲のことで忙しい。

部屋の片隅で彼女は孤独を食みながら、
地球が回らなくなればいいと思っているし
彼は地球の自転の方向について考えながら、
彼女の貪る孤独が空になるのを待っていた。

男も女もそうやって今日も他力本願な奇跡を待って
来るはずのない明日を夢見てる。


自由詩 明日はこない Copyright 亜樹 2010-11-22 22:36:11
notebook Home 戻る  過去 未来