モンドセレクション金賞を目指して
salco

わたしら製菓は社長(渡白弥三郎 59歳 魚座)以下6人の零細企業である。
今日は上半期を振り返っての反省会をした(於やきとり小政)。

議題? 陰毛サブレ
    = サブレ生地に若い女性の陰毛を細断して練り込んだもの  

社長 「アイデアは良かったが、売れんかった〜」
副社長(社長夫人) 「だからもずくにしなさいと言うたでしょうが」
社長 「もずくじゃ売れんだろうがバカタレ」
副社長 「2匹目のうなぎパイだって胸張ってたの誰ですか」
社長 「だあ熱○温泉の物産屋と歌舞伎町の玩具屋から引き合い来たろうが」
専務(長男) 「お母さん、問題はそこじゃないよ。特化の失敗なんだよ」
営業部長(長女婿) 「どんなスケベでも選ぶ権利はあるからなあ。若いたって顔もわからない女の毛を食うかということですよ」
社長 「かと言うて1人1人の顔を刷るわけにはいかんしなあ。肖像権もあるし。採れる分量も知れとるわけだし」
副社長 「だからアタシも協力したでしょうが、その都度」
経理部長(長女) 「私なんか最初からよ、お母さん」
副社長 「あらまあ」
営業部長 「実は私も。ロット2千7百から9百番台だけ」
企画開発部長(次男) 「だから俺は試食しなかったのよ」
社長 「なかなか旨かったぞ。案外、喉にも引っかからんしな」
副社長 「だからどうするんですか、在庫」
一同沈黙



議題? チョコレートぜんざい
    = ぜんざいを挟み込んだ板チョコ

社長 「これは自信作だったが、何だろうねえ!」
企画開発部長 「味は割とイケてたぜ?」
経理部長 「あんた、酒飲みのくせによく言うよね」
専務 「いや食感もなかなかいいよ。ネーミングがアレかな」
企画開発部長 「チョコっとぜんざい、とかな」
営業部長 「いや〜、どうでしょう。ストレートな方が届きやすいかと」
経理部長 「そうよ。ただでさえチョコもなかの剽窃なのに」
企画開発部長 「バカじゃね? あれだって最中とアイスとチョコレートの剽窃だろ」
専務 「うちのは懐中しるこやムギチョコなんかより上等な味だがなあ!」
社長 「んじゃもうひと押ししてみっか。お〜い、ハツ2本ちょうだい」
やきとり小政主人 「あいよ。……しかしよ、チョコ食いたい時にぜんざい食いたいかね」
一同沈黙



議題? 新製品企画開発会議
    = …… だいぶ酒が回って来た

社長 「やっぱエロかね、ウチは。エロしかねえんじゃねえか?」
副社長 「お父さん、声が大きいですよ!」
企画開発部長 「ニッチね、ニッチ」
社長 「何かいいアイデアないかなあ。ぶぅえ。何かねえか」
経理部長 「お漬け物ちょうだい。2つね」
隣卓の酔客1 「パイパイなんてどうだ。え? パイオツのパイだぜ?」
専務 「いや〜、ちょっと弱いね」
企画開発部長 「皮がパサパサじゃなあ、餡子入れても」
専務 「うん、侘しい。空しい」
隣卓の酔客1 「ウハハハ! アンコだとよ。グハハハ!」
隣卓の酔客2 「ウチのカアチャンなんざすっかりアレよ。ほら、何だ。名古屋名物」
隣卓の酔客1 「名古屋? コーチンか」
隣卓の酔客2 「まあトサカも生えてっけどよ。ほら、土産もんであんだろ、菓子が」
専務 「ういろうでしょ?」
隣卓の酔客2 「そ! ういろう! もー、デロンデロンしてやがるからよ」
隣卓の酔客1 「またまたぁ! なめろうじゃねえのかぁ?」
隣卓の酔客2 「まあ昔はさんざんしたけどよ。金輪際見たくねえ。ブヒャヒャヒャヒャ!」
営業部長 「ああ。コンドームなんかどうですかね」
社長 「おお! いいねそりゃ。オブラートみてえな感じか」
副社長 「いやですよ、そんなみっともない」
企画開発部長 「いや売れるかも。駄菓子感覚で」
経理部長 「そうよ。ある種男の夢よ、それって」
専務 「フィルム菓子か。外注になるよな。それだとコストがな」
隣卓の酔客1 「オッ、そらいい! 俺あ買う。買った!」
隣卓の酔客2 「ウチのカアチャンに1ダース!」
営業部長 「そうそう、森■ダースの感じで売れば採算取れるでしょう。個装じゃなくて」
経理部長 「あれよね。■二家のLOOKみたいに4種類の味で行くとか?」
社長 「おお! いいねそりゃ。シシ、ジューロクか」
経理部長 「季節限定味とか」
社長 「おお! ますますいいね」
企画開発部長 「でもきついと嫌だな。着けるの面倒くせえし」
経理部長 「男だったらそれぐらい我慢しなさいよ」
企画開発部長 「うるせえなぁ。消費者の声代弁してんだろ?」
経理部長 「あんた女食ってるだけでしょうが」
企画開発部長 「うるせえよ、欲求不満」
経理部長 「仕事抜けちゃあ風俗行ってさ」
副社長 「これ由美子、言い過ぎないの!」
企画開発部長 「そうだよ、話と関係ないところに持って行くんじゃねぇよ。悶々サザエ」
副社長 「達彦も!」
経理部長 「ふん、オール2バカのコピーなんか全然響かないわよ」
企画開発部長 「あっそ。ねえ、塗って乾かすのは?」
営業部長 「いや〜、どうですかね。それだとリアリティーが」
企画開発部長 「どーせ女ってさあ、着ける時は知らん顔じゃん? 塗る方が楽だぜ?」
社長 「まあな。買うのは男が多いだろうからな。ぶぅぇ」 
専務 「だけどあれだな。女が許すかな」
経理部長 「ああ。着けても意味ないんじゃね」
一同沈黙


                   〜 完 〜


散文(批評随筆小説等) モンドセレクション金賞を目指して Copyright salco 2010-11-15 22:15:24
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