一輪の眩暈
こしごえ

一輪の白い花を手折る時にもらした溜息は
蒼空へ昇った
ふしめがちなほほえみは
みすごされてしまった

光に透ける花びらを
みつめるひとみは澄んでいて
か細くなった息をする
私を映している
一瞬を
影は暗黒にとどまり
魂の額縁に納められて

ほっそりとした中性の曲線を帯びた
一輪挿しにいけられて
私は葉脈を伝う終止符を
ゆるやかにすい上げる
光薫るほほえみをかすかにかしげて

宙に立ち暗み。手をかざす
原野に風の吹きわたり
あどけなく
むしりとった暗雲をほおばる
あのこの涙の味がする

球根は生きていた
つぎの命日の
季節にも
花を咲かせ

みえない球根の遠心力へ
ほほえみかける
写真は
ゆらぎ
さしのべて









自由詩 一輪の眩暈 Copyright こしごえ 2010-11-15 07:14:40
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