火傷
ナカツカユウリ

台所が火事で燃えている

私が寝ている間に火が消えてくれるだろう
そう思って寝ていても
火は消えなかった

もうかれこれ
半年になる
強風が冬を迎えにゆき
冬を連れて戻ってきた

そろそろ
火を消そうと
消火に行ったら
私自身が焦げ付いた

針に糸を通すように
水をかけたら
少しはおさまったが
私の火傷がおさまらない

ふと見ると、ピアノの部屋も
燃えている。
ピアノは使い物になるだろうか
見に行ったらやはり私は火傷を負った。

私の指も燃えだした
私の過去も燃えている
私の今も燃えている
私の夢も燃えている
私の自尊心も、燃えかけている

形のない
怪獣が火を放ってまわっている
火傷を負いすぎて私は
消火活動が出来ないでいる

消防車と救急車を待っている


自由詩 火傷 Copyright ナカツカユウリ 2010-11-13 08:51:44
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