だが夢の中では
真島正人


フィルムのフォルムの無慈悲さ
それを物語る動物の言語
私たちの喉が鳴る
水がほしいからではない
失語症と抗い
答えるために鳴るの

だが夢の中ではサーカス小屋だったものが
翌日には折りたたまれて
跡形もなくしている

私たちはいつも
求めるべきものすら見定めることができない
だからこんなにも
過ちを忘れてきたの?

君の中にもフィルムがあるし
それは君自身の記憶ではない
フィルムは残酷
あまりにも弱い
ほらご覧またひとつ
誰も気がつかないうちに焼ききれたフィルムがあるよ
かた
かたと
回り続ける映写機だけが
光との友達関係を続けるだけさ



自由詩 だが夢の中では Copyright 真島正人 2010-11-13 00:58:38
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