無音の猟奇
salco
お前の髪は
月の雫に青く濡れて
俺の瞼を鼻先を、
腹を冷たく流れて行った
お前の白く滑らかな
体をなぞって行くと
掌に吸い付く曲線はさざ波を立て、
まん丸い乳房は大きく揺れて指から溢れた
お前の涼やかな首筋に
舌で熱い息をかけると
俺とおんなじ獣の喘ぎを
歯の間から洩らしたろう?
細い指が爪を立て、
俺の背中に食い込んだので
ありったけの愛で
何度も何度もお前を貫いた
涎を浮かべた肉色の花達は
悦びにざわめき立って
異国の愚かしい嬌声で耳を聾し
俺を締めつけ励ました
もっと奥へ奥へと突き進み
肉を裂く俺の怒りは
どくどくと脈打つ血管の中を
光速で突き抜けた
真っ白な光の中で
盲の俺が叫びを上げると
腹の下で応えていたお前は突然弾け裂け
生温かい水となって両側に流れ落ちた
慌ててお前の顔を支えたが、
それは仮面になっていた
見も知らぬ白痴じみた石膏の仮面は冷たく
だから俺も死体をお前の中から引き出した
闇の中
ぽっかり残った可愛い恥丘は
それでも眼の無い小獣のように
笑っていたが