かぎられた就寝
しもつき七
きみには本来だれもいなかった
血を分かつはずであった兄や姉はもう先に、
緑色のはなたれた地平で仲よくみつめあって
いた。ほとんど恋人のような握りかたの
手と手
は
かたくリボンで結ばれて
もうはなればなれになることはない
きみはひとり
対岸、夜明ける
認知したい
すべてを既知
してみたい、出来ればいいと
思う
思考よりさきに
日が巡って
ただここにいるだけの人だと
頭を叩かれるまでここに居たい
いたくって叫ぶ
あ
朝
だけど
それがどうしたっていうんだろう
わからない
わからなくたっていいよ
通じるだけいいよ、
ことば
伝わるからしあわせですよと
手と手はあたたかく
睡魔 襲う
認識がたりないね
さいしょから説明してあげたい
きみのいない恋人は
愛すべきひとを愛することなく死んでしまう
何にも知らないでちがうだれかをみて、
見てる
共有したがってる
そのままとても孤独になる
きみには本来、誰もいなかった
たくさんの結び目はほどけることなく
兄や姉や友だち達を取り囲んでいた
愛しているよ
が あんなにも等しく
みんなの頭上に降りつもっている
おそらく雪だろう、
思ったそれが
じつは
ぬかるみだとしったとき
きみはようやく/足を滑らせた
家族は
まだ寝静まり
きみだけが密室の鍵をあける
埃を被った石膏のように形づくられた唇は
体温をもたないらしかった
おかあさん
おねえちゃん
見ると
お揃いのリボンが
空に
ゆれて
あ、
朝
朝
おはようございます
もういちどねむる