音楽会
吉岡ペペロ

ふつう、とはなんだろう?

ふつう、でないことに人はひとり傷ついている

ふつう、そんなものあるのだろうか?

俺はそれを見つけたのだろうか

ふつう、ではない人はどうしたらいいのだろう?

俺はそれも見つけたのだろうか



おばちゃんにせかされてお母さんのまえでピアニカを吹いた

休みのとこは口で言うからね、

お母さんは音楽会には来れないとのことだった

いちにさんし、にいにさんし、さんにさんし、よんにさんし、

じぶんのパートいがいは休みだ
いつもよりピアニカの音が響いていた
張り切ってでもいたのだろうか

ヒロはクラスで二番目に合格したんやで、

お母さんはすごいなあ、うまいなあ、そう言って涙ぐんでいた
彼女が泣くと残忍な気持ちになった

さいきん夜遅くウォーキングしていると何処からかピアニカの音が聞こえる

あのときの残忍な気持ちを思い出す

そういうじぶんにすりかわらねばいたたまれなかった

あのときの残忍な気持ちを思い出す

夜遅くもなると空気もいくぶん澄んでいる

町の音も間遠くしずかになっている


ふつう、とはなんだろう?

ふつう、でないことに人はひとり傷ついている

ふつう、そんなものあるのだろうか?

俺はそれを見つけたのだろうか?

ふつう、ではない人はどうしたらいいのだろう?

俺はそれも見つけたのだろうか?





自由詩 音楽会 Copyright 吉岡ペペロ 2010-11-08 17:42:03
notebook Home 戻る