秋に・・・
まどろむ海月




  ? 秋に


ながい ひとり旅
空気が澄んで 秋
海岸線を いつまでも歩いていたい


 考えても 考えても
 とりもどしようは ない
 もう 哀しむのはやめなさい




たそがれて 遠くの岬
影絵のように 松林 灯台

 ほお〜い ほお〜い

 ほんとうに もう
 もどってはこないのか




千切れ雲が速い
潮風に吹かれて
飛ぶ かもめ


 忘れてしまいたい
  何を
 すべて なにもかも
  いずれ みんな 切れ切れに消えていくさ


 おまえはどこへ行くの
  君こそどこへ
 遠い遠い 知らないところ
  此処がどこかも知らないくせに


 此処はどこ

  夕闇が過ぎればわかるさ


 ああ そのころは





  いちめんの星空のなか…













  ? 月の浜辺の釦(ボタン)


月夜の浜辺で 釦を拾った少年は

釦の穴から 海を見て
釦の穴から 月を見て
釦の穴から 星空を見た

きらきら光る 波間には
宇宙のすべてがあるようで

すべての宇宙を含んだ釦を
舌に乗せ ぶ〜ん
うれしいな 手を広げて
ぼくは宇宙飛行機だ




浜辺の砂には 柱時計が埋もれてる
ぼ〜ん ぼ〜ん
波は ひたひた…

 今夜は深く眠れそう





  ねえ
  その浜辺に 二人で行こうよ
  今夜は月が綺麗だもの
  君の影は いつものように
  笑いながら ふざければいいや
  兎だの 梟だのに 変身して


 お礼に 今夜は ぼくが
 だいじな だいじなものを あげる






 月夜にひろった釦だよ















自由詩 秋に・・・ Copyright まどろむ海月 2010-11-07 19:12:01
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