さくら ものがたり
ひより

春の日
お山の桜は ほのかな彩りを添えて どなたかの お口へ赤い実を届けなくては と 咲いておりました。
けれども
みんな みんな 通り過ぎて行かれるばかり 切なくって ひっそりと 小っちゃな 小っちゃな くろっこ紅の実つけました。
(見たこと ありますか?)

ある日
小鳥さんが その実を拾って食べました。
悲しみが じゅわ― って お口の中へ広がって 思わず お空を見上げ ひっく ぴっく と泣きました。
(くろっこ紅の実 食べたこと ありますか?)

お空は
もらい泣き するものだから くろっこ紅の実 ごめんなさい って 大地へ帰って行きました。
(小鳥さんは それを運んでいるって知っておりますか?)

それを知って
お空は もっと もっと悲しくなりました。
秋になるほど 泣きました。
(秋の雨が悲しいのは そう言う理由も あったのでしょうか?)

もう泣かないで って
まっかな葉っぱは 寒くなるほど 染まりました。
(お山の桜の葉っぱ だんだんだん と まっかになるのは そう言う理由が あったんでしょうか?)

おお寒 こ寒 う―んと うんと 染まります
小鳥さんの お空さんの
思いを いっぱい 葉っぱに択して
幸せね

秋の陽に埋もれて 眠りました


とさ


散文(批評随筆小説等) さくら ものがたり Copyright  ひより 2004-10-23 21:19:39
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