カメラチック・ワーズ # - 最後の夏空
佐倉 潮

バス停の上に
誰かが置き忘れた写真のような
最後の夏空が広がっていた

空の青は澄んだ水色
まるで海の子

雲はこねた白いパン生地のよう
見えない硝子板に等間隔で並べられ
底が平ら 灰青く陰り
山々の向こうにまでずっと続いていた

僕たちはバス停でふたり
パンが焼かれる時を楽しみに待っていた


自由詩 カメラチック・ワーズ # - 最後の夏空 Copyright 佐倉 潮 2010-11-03 22:55:04
notebook Home 戻る