想像する体に憑依する妄想は
うめぜき

どうも右肩が重いので、

塩を部屋の隅に置き、

てっぺんをつぶす

大きな声が聞こえたような気がしました

タクシーの無線みたいな

声がどんどん右と左の耳に溢れるように、聞こえて、

困ったなと思って床についていたのですが、

すると体が動かなくなって、

うん、

あれは高校時代に良くなっていた金縛りでした。

そういえば高校生ぐらいの頃は

叫ばずにはいられなくて

今も同じようなのですが、

ぎらぎらするような

真夏の熱気は

もうどっかにいってしまったように思うのです

少年達のフリスビーの軌跡

女の子のやわらかなフォルム

海鳴りと海風の間のやさしい沈黙

私は立ち尽くしているのです

世界に垂直に立っています

墓標のようです

夜更けにしんとしている時に

幽かな歌声

その中に群れを成すように立つ墓石

そうですね、おっしゃるとおりです

群れが恋しいのです

夕空を渡る渡り鳥を思うのです

何事も思わず

自由に

手もつながずに

つながりあっているかのように

それは行進かもしれません

何処までも進んでいけるのでしょう

けれども、終の棲み処は必ずあって

私たちの旅はそこで終わるのでしょう

ただどうも私はまだ生きていて

どうも右肩が重いのです



自由詩 想像する体に憑依する妄想は Copyright うめぜき 2010-10-31 23:58:03
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