月のある頃
蒼木りん

お月さま沈まず
だんだん長く待ってくれる
私が眠るまで
空にいてくれるだろう
それも
満ちるまでの少しの間

お月さまだって
事情がある
そうそうやさしくもしていられない
だけど
少しだけ想像してしまうんだよ
それは願いごとになる

秘密にしておくよ

満月の日に二人で逢おう
西に紅く燃えた夕日を見て手をつなぎ
東に月の出を待とう
宵ふたり重ねあう気持ちが
固く結ばれるように
光り強く冴えた月で在れ

楽しみは
自分で作ったり
探したりするのさ

もしも
不意にやって来たなら
幸運だ
ありがとう

お月さま

今日もあなたに逢えてうれしいよ
肥えてゆく姿を見るのは
良いほうの気持ちになる
痩せてゆくのは
季節が冬に向うときの気持ちに似ていて
何かにも似ていて

満月はいつだい
今度を逃したら
冬になってしまうね

降らないで




未詩・独白 月のある頃 Copyright 蒼木りん 2004-10-23 08:47:50
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