たて と よこ
砂木

廊下に立っていなさいと怒鳴られ
私と隣りの席のこんちゃんは
はっと青ざめ しーんとした教室を出た

社会の授業で地図張をひく練習中
いろんな場所を見ていた私達は
すっかり楽しくなって
あちこちを探索しながら
馬鹿騒ぎをしてしまっていた

教室をでると こんちゃんが涙している
私もびくびくした
先生に怒られてだされるなんて
不良のすることだったから

でも 二人教室の外に立ちながら
ひそひそと話しているうち
少しづつ気持ちが楽になり
段々 廊下から階段に移動して
階段を上り下りして歩くと
しだいに落ち着きを取り戻し

ベルがなり教室に戻った時は
ほっとして 神妙に席についた

あの頃の木造の校舎はとっくに壊され
その後にできた新校舎も廃校になり
こんちゃんとも 誰とも疎遠になり
地図張のどこにも存在しないものになった
何が楽しくて 怒鳴られるだけ笑っていたのだろう

授業を妨害する気はなかった
地図張の見方を教えられ わくわくしていた
小学生の頃の唯一の武勇伝



自由詩 たて と よこ Copyright 砂木 2010-10-24 20:47:07
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