プログラム
高梁サトル


朝焼けの美しさの前で途方に暮れるたび
あらかじめ失っているものの大きさを思い知る
それでもこのまま進んでいくことしかできない
アルゴリズムに沿ってできるだけ

ループから消えた数字は
バグから脱出した何処かで今もプログラムを処理している
簡単な数列を難解にして楽しむ人たち
空も見詰めすぎれば碧を失う
全的に一致する記号は無いことでしかあらわせない

空き地に捨てられた仔猫が3匹
誰かに差し出されたミルクに群れている
少し離れた場所で濡れそぼった毛を舐めている
寂しげなオッドアイの所在なさげに鳴く声が
頭から離れない


自由詩 プログラム Copyright 高梁サトル 2010-10-20 07:03:50
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