ばらの花
nm6

緑のガムはきっと青りんごとメロンの中間の味がするはずで
暗くてひんやりと寂しい箱の中に丸まって収まっているそれを
売る駄菓子屋のおばあさんは30年間涼しげな家の畳と続いたすみっこに
座っていたらいつのまにか赤い座椅子になってしまったと聞いていた

これからどこへ出かけるのですかと聞いてみたら
明日には分かるけど今日はおめかししなきゃいけないのよと
みじかい笑顔が溶けるようにするりと焼きついて目の奥が甘酸っぱくなった
赤い着物には池があって錦鯉がけだるそうに踊っていた

あれはきっとそうだったのだろう
私が踏んづけてしまった
そうして偶然はこの世界に確率以上の確率でやってきて
誰かと誰かが同じ瞬間に同じ本を読みながらくしゃみをしている

明日には分かるなら今日はばらの花を買おう
京都には黄色のトマトがあると聞いたけれど
そんなものは少しだけ頭が悪い子のフリをして友達に会って
丸い穴を空けてパインアメにして川に水平に投げて4回ハネてしまおう



これは、以下のプロセスを受けて連詩として書かれたものです。
■山内緋呂子さん『公園』
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=1981
■『公園』に対するnm6コメント
http://po-m.com/forum/pointview.php?did=1981
■山内緋呂子さん『nm6さんと連詩』
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=2123
■nm6『グッド・イヴニング』
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=2162
■山内緋呂子さん『間際』
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=2194



自由詩 ばらの花 Copyright nm6 2003-10-12 02:31:10
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