旅愁
塩崎みあき

松の木で作られた
防風林を抜けてゆく
秋風

旅立ちの日なのですね

鞄の中を
何度見直しても
なにかをあすこに
置き忘れてきたような
十月は
指先に感じる
わづかな冷たさに
不安を食んでいる

駆け出したバスの
車窓から見える景色が遠ざかる
この速さで
季節も駆け去ってゆくから


自由詩 旅愁 Copyright 塩崎みあき 2010-10-07 18:54:34
notebook Home 戻る