湖の空に浮かぶ隠嚢
アラガイs



よくよく考えてみればぶら下げて歩いている
恥ずかしい背負いだ
禿鷲の後頭部
コウノトリのずるむけ
もしかして生まれ変われるなら
名前も姿もいらない
誰もいない湖面に顔を晒して
よくよく自分を見つめてみようと思う
そんな風に生まれ変われるなら
悪魔に身を委ねたっていいじゃないか
そもそも悪魔なんて見たこともないし
誰かが勝手にそう呼ぶだけで
ほらね
れれれのれ
陰嚢がこんなにも縮んでいる
養鶏場へ行って鶏に真珠を食べさせてやろう

幸子先生のスカートを思い切り捲ってやれ
知らないおばちゃんに抱きつけ
路面電車のなかでオナニーしてうっ うっ と 逝ってやれ
トイレットペーパーに日の丸を書け
東京タワーの上から二重橋に向かって小便を撒き散らせ
日本銀行に突っ込み米軍基地の前でふんどしに火をつけろ
銃をとれ銃を壊せ
国会議事堂前で そして腹を切れ

髪を切るな 髭を生やせ
入れ墨をしろ 服を脱げ
着物を着ろ着物なんて破れ
空に向かって唾を吐け
自分に唾を吐け
唾を吐け
ヒトのために

よくよく考えてみれば
隠嚢なんて有りはしない
袋小路に群れる蜂の罠
視るだけ無駄なことだろ
他人の穴なんて
こころの墓場で泣いてやればいい
自分を棄てろよ
もっと
大切な自分を
もっと
れれれのれ だ








自由詩 湖の空に浮かぶ隠嚢 Copyright アラガイs 2010-10-04 02:16:03
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