邂逅
本木はじめ


僕のなかで名もない何かが暴れている
鎮めるための唄をうたっておくれよきみ


タイムカプセルの話なんか持ち出したりして
そんなんじゃいつまで経っても
掘り起こすことなんてできやしないさ
同窓会せんのかなぁて
それじゃあ誰も集まりはしない
僕はきみにとってなんの比喩なのか
そしてまたきみは僕にとってなんの比喩なのか
この再会に意味を求めても否定されるだけ
きみのカラァーコンタクトのひとみがきれい
華やかな接触だよきみ
懐かしい土地への帰郷を切望する
病の床にある画家のように
失われた色はそんなにも美しい
遠く離れてしまった土地が僕を欲しても
もう僕は戻ることができない
「生きるとは変わってゆくことよ」
まるでさびしさだけが僕を生かすかのように
時間だけが冷酷に指折り数えられては捨てられてゆく
もはや僕はわからない
なぜ今が秋なのか
そして問われることのない答えが無表情で
ありもしない椅子に腰掛けている


自由詩 邂逅 Copyright 本木はじめ 2004-10-20 20:42:25
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