雨夜の猫
梨玖

ゆるりと目を開ける
雨夜は私の体温さえもむしば
寝ていては私の命が危ない

蒼い瞳をぎょろり動かして
アスファルトの溝に水たまりを見つけた
少なくとも今日は飲料水には困らない
腹を壊す沼の水も飲まなくて済むだろう

黒い手足を動かして
暖の取れる場所を見つけようと身体を進める
途中人間に罵声を浴びた
不吉な色をしている、から仕方がないらしい
もう慣れた事だ

雨夜は私の命さえも蝕む
昼は少ないかてを探しに行くのだ

少し止んだ雨音に目を細める
早く眠りたい衝動を抑え
明日も空腹に喘ぐであろう私の尻尾が揺れる


自由詩 雨夜の猫 Copyright 梨玖 2010-10-03 04:48:35
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