メルヘン/ドッグ
アラガイs
海岸通りを飛ばせば
忘れられた緑のなかに館があったよ
どこにでもあるようなメルヘン
車で通るたびに見ていた
どこかで見たような顔はもう思いだせないよ
幸せか不幸せかなんて
その顔をみればわかるもの
*
詩人がお店を出したよ 。
忘れられた街の片隅
詩人が出す店は小さな黄色いホットドッグ屋さん
緑色の看板には「プレッツェルロジック」
味に自信はあってもお客はさっぱり
目立ち屋がりなチューリップもうわの空
開店早々地面を眺めてしょげてたら
子犬を連れた小さな女の子が
百円玉ふたつ手にして買いにきた
うれしくて
うれしさのあまり詩人はもひとつオマケしたよ
ロールパン特大チリソーセージ
キャベツもレタスもいっぱい詰め込んで
その上に真っ赤に熟したイチゴをぽんとのせたなら
あらまなんだか
風にぽろりと
小さな涙が
こぼれおちたよ
*
※
「プレッツェルロジック」 スティーリーダンのアルバムタイトル曲