ぼくはマックであなたの記号を考える
天野茂典

 


  アルファベットjのような
  日本
  列島に
  ぐんぐん
  侵略してくる
  台風23号の
  暴風圏
  15k以上の
  突風で
  秋雨前線をおしあげる
  きょうの本州は
  豪雨
  鳥はどこへ
  避難したのだろう
  関東平野の
  あらゆる森へ
  翼を休めているのだろうか
  電車は
  バスは
  平常運行は無理だろう
  それでもぼくは
  風と雨に
  ふきつけられ
  濡れながら
  傘楯にゆくだろう
  サンチョ・パンサ*の
  片割れのように
  ドキドキするものだ
  こんな日は
  かえって
  童心にかえるのだ
  小鮒やザリガニ
  捕りに行くわけでもないのに
  乱れるダイヤ
  乱れる怒涛
  そうしていつも
  ぼくらはこうして
  生き急いでいるのではなかったか
  いつもぼくらのこころには
  南洋海上で発生する
  台風を持ち歩いているのでは
  なかったか
  吹き荒れる
  シュツルム ウント ドランク
  赤い傘は
  壊れるだろう
  夕べから雨・風が強くなるのだ
  帰宅時間だ
  それでもぼくは
  駅前のマックに寄って
  いっぷくやろうだろう
  珈琲を飲むだろう
  きょうも文化祭で模擬店をだすからだ
  詩でない日常の
  黄金の時間
  ぼくはここであなたの記号について考えるのだ
  美しい夕やけも見ないで*!



               *ドンキホーテ セルバンテス
               *吉野弘



             2004・10・20


未詩・独白 ぼくはマックであなたの記号を考える Copyright 天野茂典 2004-10-20 06:02:59
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