かぜひき魔女の修業時代
吉岡ペペロ

ドキドキごころの靴音たてて

地下鉄の風に吹きあげられて

黒い帽子のかぜひきの魔女

修業でつけた魔法のちからは

五六ねんまえの魅力のまんまだった


やっぱり魔女はなんにも変わっちゃいなかった

宇宙のすべての存在は

魔女のメルヘンまもるしかなかった

かぜひき魔女は月よりも清浄で

ひかりのしずくが闇を照らして

その色は青だった

かぜひき魔女に靴下をはかせた

ほそい首にタオルを巻かせた

ベッドの窓辺のカーテンはしめさせた

眠るまえには水を飲ませて

背中にはガーゼのハンカチーフ

普通の日々がすぎてゆく

宇宙のすべての存在は

魔女のメルヘンまもるしかなかった


ドキドキごころの靴音たてて

地下鉄の風に吹きあげられて

黒い帽子のかぜひきの魔女

修業でつけた魔法のちからは

五六ねんまえの魅力のまんまだった






自由詩 かぜひき魔女の修業時代 Copyright 吉岡ペペロ 2010-09-25 00:03:50
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