新宿 昨日・今日
森の猫

靖国通りを東へ 東へ
ずんずんと 歩く

もう 近くには
新宿御苑
しずかな
新宿のダウンタウン

あたしのあたらしい
隠れ家は
そこにあった

定期的に
家族と離れ
ひとり過ごすのが
ここ数年のあたしのサイクルだ

家はあたしを女優にさせる

皆 個性的な個々家族の中でも
ひときわ浮いている
あたし

近くのコンビニで
ビールと軽い夕食
とろりとしたプリンアラモードを
買い込む

迷路のような入り口から
エントランスに続く
ギザギザの通路

喫煙の部屋を希望したら
別館へ通された

シアトルのエコノミーホテルの
ような雰囲気だ

柑橘系の入浴剤で香る
お風呂で汗をながし

プレミアムビールをたのしむ

早い夕食をとり
2缶目のエビスの大缶を飲むと
酔いがまわり
少し頭痛がしてきた

大きな 独り言を言うのが
目的の放浪

ベッドにすわり
キャミ一枚の気楽な
格好で

悲しい ラブソングを唄う
自然と涙がながれる

ココロに溜まっていた
キミへの言葉を吐き出す

あたしね あたしね・・・

この数ヶ月の想いを
キミの写真にぶつける
すこしの期待をもった
自分が情けない

いつのまにか
泣きじゃくっていた

もっと
酔いたかった
深夜 エントランスホールに
ビールを買いに降りた

そこは
異国のひとたちが
あふれていた

韓国語 中国語
大きなスーツケースを
もった一群

ここはそういう隠れ家だった

3缶目のビールを手に
つっぷして
眠りについていた

3時間くらいは
眠っただろうか

携帯の音で
反射的に目が覚めた

キミからの
中途半端な間接的なメッセージが
あった

無意識に返信し
また まどろんでしまった

朝 光が熱い

酔いは醒め
お腹が空いている

定刻に身支度をすませ

靖国通りを
ビジネスマンに混じって
あたしは
西に歩いていた

平日の新宿は
違う顔をして
あたしを冷静に
迎えてくれた


自由詩 新宿 昨日・今日 Copyright 森の猫 2010-09-24 02:21:16
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