登山列車
……とある蛙

蒸気機関車の車窓から
景色が後方へ飛んで行く
山は碧から朱に変わっており、
山肌には不気味な道が這い回る。

しゅっしゅらしゅっしゅっしゅ
しゅっしゅらしゅっしゅしゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

山間の縫って走る
蒸気機関車の車窓に
不気味な山裾が迫ってくる
線路はまっつぐ山頂へ

しゅっしゅらしゅっしゅっしゅ
しゅっしゅらしゅっしゅしゅっしゅらしゅっしゅ
しゃらしゅっしゅっしゅ

急勾配にさしかかり
蒸気機関車の車窓に
山それ自体が膨らんで入ってくる
線路はくねくね山頂へ

しゅっしゅらしゅっしゅっしゅ
しゅっしゅらしゅっしゅしゅっしゅらしゅっしゅ
しゃらしゅっしゅっしゅ

金比羅ふねふねおいけにほかけて
しゃらしゅっしゅっしゅ
スイッチバックでどんどんと
山頂へ不気味な霧が立ち籠める


しゅっしゅらしゅっしゅっしゅ
しゅっしゅらしゅっしゅしゅっしゅらしゅっしゅ
しゃらしゅっしゅっしゅ

頂上から先何もなく
蒸気機関車は空を飛ぶ
何事もなかったように
くねくねくねくね空を飛ぶ

しゅっしゅらしゅっしゅっしゅ
しゅっしゅらしゅっしゅしゅっしゅらしゅっしゅ
しゃらしゅっしゅっしゅ


自由詩 登山列車 Copyright ……とある蛙 2010-09-11 12:30:39
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