腹へって眠れない
花形新次

腹に固形物が入らない 
変なドリンクだけで 
晩飯済ます
腹へって 
腹へって
とてもやりきれない
この飢えた狼のような獰猛さを
だれかに 
向けようか
「ちょっといい加減にしてくれない、迷惑よ!」
「うるせい、わーってるよ!」

白い雲は 
ご飯に見えて
思わず手を伸ばすけれど
流れて消える
腹へって 
腹へって
とてもやりきれない
この「何のために生きているのだ」という虚無感を
埋め合わせるものは 
ないだろうか

各種
揚げ物が
目の前にちらつく
これは幻覚なのか
齧り付いてみるけれど
空振りに終わる
腹へって 
腹へって
とても眠れそうにない
やっと眠れたとして
トンカツの衣に抱かれる夢は
ずっと
続くのか



自由詩 腹へって眠れない Copyright 花形新次 2010-09-08 22:14:31
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