【連詩】 三軒目の鴉
古月

あんまりおなかが空いたのでわたし、
針金をのみこんだのでした
モビールの鴉のお腹から
ぬきだしたいっぽんのあばら骨、

するすると引っ張ると
するするとどこまでも伸びてゆくので
校庭のはしっこ。
までではぜんぜん足らなくなってしまって
わたしの空っぽの渡り廊下は(はしらないで)
あなたにとどかないまま(ひとり、
ひとり)下校のチャイムがひびいている
帰り道は/海

電線のつづく空をみていた。
「どこへかえるの?」

/潮騒と歩いて
急落する鳴き声
単色の漁り火
点滅する
鳥たちは旋回し
胃液が沸騰する夜に
追いかけてくる
海鳴り
やがて夜を追い越していく

っぽのおなかが
ひび割れて散り散りになったので
そのかけらを指で
つないだ 風がすこしうごいて
けれど「わたし 
ぜんぜんゆが」んだ
り、しなかった
因果 陸上では窒息する
指は
かぜ切り羽の名残
だと
耳を澄ます
「どこにも帰れない」

/金属の鈍色で
/葉脈の刃先に軋む 、
/光沢(この指先が

、水底に沈んでいたころ)
砕かれた空に戻ろうと
鐘の音を追ったの、に
光る指先/わたしをね、じって/
乱反射する、を
埋めていく/埋められていく
わたし/あなた

電線のつづく空を、
つづく空の、
底に三次元を
ころし て い く あ し お と  が  な  っ   て

もうさっきから針金ばかりのおなかのなかで
可愛い七つのわたしが泣いているのです
こらえきれない衝動を脈動するおさない臓器からはき だ

はき だしてもいい、、?

剥落剥落剥落だけに手をさしのべて
///ひとつ、わたし、あ、鴉
あ、軒の上


一軒、二軒、
/三軒目の屋根の上 
 /電線から三羽の鴉が 
吊されて、吊されて、吊されて

、わたし、わたし、死んでいくのね


自由詩 【連詩】 三軒目の鴉 Copyright 古月 2010-09-01 01:26:35
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