紙コップ
蒼木りん

紙コップに注がれる筈のインスタントコーヒーでいい

白いカップに淹れて

ください

珈琲は 

正装で飲むものかと

私を大正時代に連れて行って

銀の匙で

薄色のスープを啜らせて

喫茶店には

複雑な美女

あなた

ここには不釣合い

ビニール傘は一本で

セイラーのロングスカートとボンタンのカップル

タクティスの匂い

雨粒の付いた窓辺

9ボールを夜明までやろう

冬は星空が綺麗ね

夜の食事はおにぎり一個とお茶だけ

朝はパンとコーヒー

昼もパンかラーメンか定食

たばこはたまにセブンスターでクラクラ

睡眠時間は3.5時間

つなぎの筈だったのに結婚

クリスマスは嫌い

ケーキにナイフ

壊れた白い壁

私は司令官

記憶喪失な



未詩・独白 紙コップ Copyright 蒼木りん 2004-10-17 23:45:43
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