あまい 毒
雨音些末
葛藤や荒波 絶望を
自力で乗り越えたことがない人の
その優しさは
ただのパウダーシュガーの
プラシーボ
乗り越えたことがある人は
安易に優しくしない
乗り越える辛さを
自分の中に蓄えながら
手を貸したいのをぐっとこらえて
握りこぶしを硬くして
その人が
自分で立ち上がるのを見ている
乗り越える力を
自分で付けられない人に
力は貸せないと
知っているから
そしてその心を
知ることがない人には
貸しても無駄なことを
知っている
ねぇ
あなたは
気づいているのかな
自分で歩こうと思わなければ
前に勧めないことを
いつも誰かが差し伸べる手を
転んだ姿のまま
能書きばかり垂れ流しながら
待ってる姿は
ただのすねた子供
あなたの母親は
不老不死じゃないし
手をかしてくれる人は
無尽蔵ではないし
いつまでも貸し続けてはくれないのに
知らない人はみな
あなたをほめる
やさしいひと と
やさしいね
やさしいひとだね
でも
甘くやさしいだけの
シュガーコート
中身はブドウ糖でできたラムネ
薬なんかはいっちゃいないんだ
入ってるとしたら
デパスがほんのすこしくらいかな
でも
いらないよ
デパス
もうおなかいっぱい
シュガーコートもラムネも
甘いだけなんだ
子供騙しだよ
全部甘さでごまかした
口あたりのいい嘘なんだ
もういらない
もういらないんだ
もう
いらない