夏も夏
船田 仰

空中分解したことばたちを
だらしない二の腕や腰回りにひっつけて座っている
いつのまにか夏も夏、それがもう
どろどろの睫毛の先にも刺さらずに
興味がない、が一番言いたいことなのは
一体全体

おしえてくれればわすれなかったのに

汗ばむてのひらを握りしめて、小さな穴が
覗き込めば血の色の太陽を
タイミングをのがした、輪郭をあわよくば
すばらしい日々
に、しようと、だらしなく座り込んだ夏も夏

ビタミンCが必要なのだなぁとおもう

ぼくがきみになるためには
何万回か、小さく新しくなり続けなくてはならない
空中分解したことばが
ひゅっと通り抜けてだらしない腕や首元に焼き付く
血の色をしたすばらしい日々
および
夏も夏

一体全体
おしえてくれてもわすれていただろう
きっと


自由詩 夏も夏 Copyright 船田 仰 2010-08-21 03:59:01
notebook Home 戻る