労働者の赤い砂
婆娑羅翁





夏だからって休みは無いぜ

俺の体が垢まみれになることには変わりはないんだ

弟は幼い夢を見ている

陽炎がアスファルトの現実を教えてくれる

昨日も今日も歪んだ道を歩いていた

明日があるかは分からない

この体が襤褸切れになっても

労働だ、労働だ



     ◆◇



赤い砂漠の砂を麻袋につめて砂丘を下り

トラックに乗せて新しい麻袋を持って砂丘を上がる

赤い砂漠の砂を麻袋につめて砂丘を下り

トラックに乗せて新しい麻袋を持って砂丘を上がる

赤い砂漠の砂を麻袋につめて砂丘を下り

トラックに乗せて新しい麻袋を持って砂丘を上がる

この砂は日の丸を染める染料になる



     ◆◇



決して皇族が笑うためにこの汗は流してるわけじゃない

弟、家族のためさ

恵まれない今を弟が日本で成功するために

そして

お互いに恵まれなかった友に

血税はそれに使ってほしい

働く、辛いのはそれができなくなったときに全ての夢が振り出しに戻ること

俺は赤い砂丘から転げ落ちる前に麻袋に砂をつめておきたい









自由詩 労働者の赤い砂 Copyright 婆娑羅翁 2010-08-16 05:54:49
notebook Home 戻る