蝉の鳴くのを聞きながら
吉岡ペペロ

彼女はこの夏よくがんばったから

さいごの日に

軽く打ち上げをおんな五人でする

だれもがだらだらしたり

旅行をしたりしているときに

すこし閑散としたいつもの道を歩き

電車を乗り継いで車内広告などにも見慣れ

彼女は夏季講習に通いつづけたのだった

邪魔をするのは嫌だったから

この四日は読書ばかりして過ごした

夕方の風は知らぬまにほどけ

蝉が色あせた夕方を惜しむように鳴いていた

彼女の幸福にとって

社会制度上の存在にはなれない

だから彼女の存在じたいを応援している

彼女もたぶんそうなのだろう

薄い青いろの風のなかを

彼女は蝉の鳴くのを聞きながら歩いている









自由詩 蝉の鳴くのを聞きながら Copyright 吉岡ペペロ 2010-08-15 18:09:26
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